林道歩きで見たもの

4╱28 (土)
大札山 (大井川流域)  登山教室・実践山行 〓 その5 〓

山行の行程がほぼ終わりに近づいた頃
林道歩きで見たものは・・



一台のパワーショベルがいるではないか!
林道歩きで見たもの

















林道歩きで見たもの林道歩きで見たもの

どうして
落ちない?




”SHC会報・やまびこ” No152 (2009・11月号) P15を捲ると
以前、この光景と同じ様が、『会員エッセイ』 に綴られてありました。
この状況にピッタリの文章なので今回はそれを転載させていただきます。


林道歩きで見たもの林道歩きで見たもの






『崖の上のブル』

 同期入社の超仲良しが、時々作文を送ってくれる。 「コーヒーブレイクタイムの話」と言い、今月送られてきたものは92話になる。 以前、会報の巻頭を汚していた拙文は70話まで続けたが、彼のそれは、とうに70を越えて、100話も眼の前に見えてきた。 その上、いつもA4、4枚以上だからトータルのボリュームは、私の倍以上になると思う。 92話は、6月の高塚山へ白ヤシオを一緒に見に行ったときのことを書いて送ってくれた。 白ヤシオが如何に素晴しかったかは、後半に記されているが、それは置いといて、前半の仰天スナップだけを披露することにしよう。
 まずは、この衝撃的な写真を見てくれ。 いや、写真になると迫力は消えてしまうが・・・ 切り立った崖!そこは岩盤の岩肌ではない・・・ショベルを差し込むと、すぐにも崩れ落ちる脆い土砂の面である。その崖の真っただ中に一台のパワーショベルがいるではないか!どうして落ちないのだ?ワイヤー2本で吊られているのだ。いや、自分の体から出した2本のワイヤーを、林道の端に深く打った杭に結んでいるのだ。蜘蛛の糸なのだ。
 何度なのだ? この斜面は! 現場監督は、『45度をちょっと越えるかな』 と言うけどさ、向こうの工事済みの砂防壁の垂直に比較すれば、60度も超えるんじゃないの?? 一見80度にも見えるさ。
 なんで壁にへばりついているの? 『自然の山の斜面を削って林道を造ったもんだからさ、ご覧の通り崖崩れさ。これ以上の崩れを防ぐために、ほら林道の上をやったみたいに、コンクリートで覆うのさ。 覆う前に、表面の崩れ易い土砂を削り落すのさ』 と現場監督。
 断崖にへばりついて、殆ど梅雨の曇空しか見えない姿勢のパワーショベルが、自分の前の (と言うより頭上の)壁を、左から右へ一掻きずつ土砂を削り落している。その土砂は、ブルの左を、右を、急斜面を滑り落ちる。 「自分にも押し寄せてくるじゃないか?」
 40代と思しき監督は、腕組をしながら解説する。『あのブルは絶対にひっくり返らない。あのブルは日本でウチしか持ってないんだ。 だから、日本中の崖の仕事がウチに来る。この機械の特徴はな、ワイヤーを自分で巻くことが出来る。 前の部分に左右にウインチを装備している。だからホラ、崖を登りながら崩しているだろう。 二つ目の特徴は、運転席が角度を変えて、いつでも垂直の姿勢で運転できる。 その上で、左右に回転できる。 三つ目はね、普通のブルは前に横広のショベルがあって土砂を前に寄せていくけれども、あいつはホラ、後ろに横広のショベルがあるのが見えるだろ。 あれがミソなんだよ』 と自慢げに言う。
 ブルの後に装備した横広ショベル・・・・左右のキャタピラの間に入った大量の土砂が溜まって、自分が浮いちゃうんじゃないのかなぁ? と思ったが、見ているとショベルを揚げては土砂を吐き出し、吐き出し、前の土砂を削っている。 土砂を自分の腹の下に溜め込むことで、キァタピラ周りの土砂が急にえぐられるのを防止しているように見える。
 海岸の波打ち際に立っていると、波が引く時に足の周囲の砂をえぐりとって、姿勢が崩れる・・・きっと、あの状態になることを防ぐ、バランス取りのために必要なんだ。 と考えると、なるほど!
 「あのサーカスの人は、危険手当はドーンとかな?」
 『時間で100円ちょっとかな。一日1000円くらいのもんですよ』
 「えっ?ほんとに?」監督は工事の連れの人と顔を見合わせてうなづく。
 「ほんとですか。一日中腕を組んでここで立ってる監督と、断崖でサーカスやってる人と、1000円違いですかぁ」と少し皮肉ったら、
 『危険なのはこの崖の下で、落ちた土砂を整理しているブルの方がよっぽど危険だよ』
言われて覗けば、目もくらむような我々の足元に、小さく見える一台のブルが働いている。 「なるほど。想定外の土砂がドシャー!っと来たら、埋められるな」 上のブルがひっ掻いた土砂の行きつく先は、V型に狭くなる谷だ。300mもあろうかと思える下方だ。少なく見ても200mか。
 下には、超人がもう一人いた。 今 僕たちが立っている林道の足元は、既にコンクリートの厚い壁が出来ている。が、その下端では、ロープに吊り下がった男が、生コンクリートを壁に吹き付けているのだ。 生コンの通る重いホースを抱えて、不安定な姿勢で、吹き付ける生コンの反力と格闘している姿が指人形のように見えた。
 長いロープに自分の体を預け、太いホースから生コンを吹き付けながら、右に左に移動するサーカスもどきの工事は、山梨県の櫛形山の林道で、10年ほど前に出会ったことがある。あの時は林道のすぐ上をやっていたから、サーカスの綱渡りのようにじっくり見ていた。 今度は、覗き込むことさえ恐怖感のある、遥か下の指人形芝居である。・・・・以下省略。
林道歩きで見たもの



K・I
 



2012年05月07日 Posted byこだま at 21:46 │Comments(0)会員エッセイ

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